スーツを着こなす男性は、細部まで気を配っています。
いくら高級なスーツを手に入れても、日々の扱いが雑では、すぐに型崩れし、くたびれた印象に。
”できる男”は見えないところ【ハンガー選びやケア方法】で、さりげなく差をつけています。
この記事では、スーツ販売歴15年の筆者がスーツを美しく保ち、長く着るための必要な3つの基本的なコツをわかりやすく解説します。
クローゼットの中から、あなたの印象は変えられます。

厚みがないハンガーをおすすめしない理由
1: 肩パットの形が崩れる
スーツの肩部分には肩パットが入っています。
細いハンガーにスーツをかけてしまうと、肩パットがゆがんでしまいます。
スーツの肩回りは、スーツを着た時にシルエットや印象を大きく左右する重要なポイントです。
最近は肩パットが薄いスーツや、肩パット自体入っていないカジュアルスーツも多いです。
こちらも同様、細いハンガーにかけて長時間保管していると、ハンガーに触れている部分のみ伸びてしまい、生地にゆがみが生じます。
2: シワになりやすくなる
細いハンガーにかけることで、生地にたるみができ、全体のシルエットが崩れてしまいます。
特に肩に近い腕の部分は、シワによってへこんで見えてしまう場合があり、見た目がとてもかっこ悪くなってしまいます。
3: 消耗が早くなる
型崩れやシワになった状態で長時間保管してしまうと、「型がくずれたまま」回復が難しくなる場合があります。
それにより新しいスーツに買い替える必要が出てきてしまいます。
ウール素材はシワの回復が比較的早いですが、ポリエステル素材は、一度シワになると回復が難しいです。

せっかく買ったスーツが間違った保管方法で台無しになってしまう可能性もあります。
【スーツを綺麗に保つコツ①】~ジャケット専用ハンガーを使う~
1.肩のラインが崩れにくい
ジャケット専用ハンガーは、肩部分が厚く丸みを帯びた形状になっています。
これにより、スーツの立体的な肩のラインが自然な形で保たれるため、型崩れを防止できます。
薄い針金ハンガーでは、肩が尖ってしまったり、跡が残ってしまうことがあります。
2.シワができにくく、毎回きれいに着られる
厚みのあるハンガーにジャケットを掛けることで、生地が自然に落ち、シワが伸びやすくなります。
クローゼットに掛けておくだけで、「軽いアイロン効果」があるイメージです。
通気性が良くなり、湿気対策になる
ジャケット専用ハンガーはボリュームがあるため、生地と生地が密着せず、空気が通りやすい構造になっています。
汗や湿気をしっかり逃がして、カビや臭いの防止にもつながります。
4.襟元や肩周りに変なクセがつかない
一般的なハンガーに長時間掛けていると、襟や肩に不自然な折り目やクセがついてしまうことも。
専用ハンガーなら、ジャケットの立体的な構造にフィットする設計で、きれいな形をキープできます。
5.長持ちするから、コストパフォーマンスが高い
多少値が張るハンガーでも、スーツの寿命が延びることで結果的に節約になります。
1着数万円以上するジャケットを守るための投資。
と考えれば、十分に価値があります。
ハンガーの種類
- 木製・・・丈夫で見た目もおしゃれで高級感がある。価格が高めで、重さがある。
- プラスチック・・・軽くて使いやすい。価格は安いが、耐久性は低い。
- ステンレス・・・サビに強く、変形しにくい。滑りやすく、冷たく感じる。
木製ハンガー
- 見た目の高級感もありデザイン性がある
ハンガーを揃えてスーツをかけると、お店に飾られているみたいに美しく見えます。 - 自然素材のため、吸湿性に優れている
クローゼットの中は湿気がたまりやすいです。
木製のハンガーを使用することで、衣類の内側の湿気を取り除いてくれます。 - 静電気の発生を抑える効果がある
乾燥した時期に静電気に悩まされる方も多いはずです。
木は静電気を帯びにくい素材のため、衣類をかけることに適しています。
- 価格が少し高い
プラスチックやステンレス製のものと比べると高いものがほとんどですが、作りがしっかりしていて丈夫なので、一度買えば長く使えます。 - ハンガー自体に重みがある
素材自体の密度が高いのでどうしても重みが出てしまいます。
ですが、高級感や自然の風合いが魅力なので、ある程度の重さがデザインの一部ともいえます。
プラスチックハンガー
- 価格が安く、手に入りやすい
100円ショップや量販店などでも入手できるため、コストを抑えたい人にとって手軽です。 - 軽量で扱いやすい
木製に比べて圧倒的に軽く、持ち運びや衣替えのときにも扱いやすいのが特徴です。 - カラーバリエーションや形状が豊富
シンプルなものから機能性のあるもの(すべり止め付きなど)まで種類が多く、選びやすいです。
- 強度が弱く、変形しやすい
長時間スーツを掛けていると、ハンガー自体がたわんだり曲がったりして、型崩れの原因になります。 - 厚みが足りず、肩の形が崩れやすい
多くのプラスチックハンガーは細くて薄いため、スーツの肩部分をしっかり支えられず、ヨレや凹みの原因になります。 - 高級感や見た目の清潔感に欠けることも
見た目が安っぽくなりやすく、クローゼットの印象にも影響します。
身だしなみを整えるという観点ではややマイナスに映る場合もあります。
ステンレスハンガー
- 耐久性が高く、長持ちする
サビに強く、劣化もしにくいため、長時間使っても形が崩れません。
プラスチックのように折れたり、木製のように割れたりする心配がほとんどありません。 - 清潔でスタイリッシュな見た目
銀色の無機質なデザインは、クローゼットをすっきり見せたい方や、ミニマリスト志向の方に好まれます。
汚れもサッと拭けて衛生的です。 - 薄型で省スペース
一般的にスリムな形状のものが多く、クローゼット内で場所をとりません。
収納量を重視する人には便利です。
- 厚みがないものが多い
細いワイヤー状のステンレスハンガーは、スーツの重みを受け止めきれず、肩に跡がついたり型崩れの原因になります。
スーツには「厚み・丸み」が重要です。 - 滑りやすく、ズレ落ちやすい
金属面はツルツルしており、滑り止め加工がないとスーツがずり落ちてしまうことがあります。 - 金属特有の冷たさや無機質さがある
デザインによっては高級感に欠ける印象を与える場合もあります。

いろんなハンガーがあってどれがいいか迷っちゃうな…

おすすめは「木製ハンガー」です。
価格は少し高めですが、機能的にも優れていて、スーツに優しい素材です。
見た目がオシャレなのもおすすめポイント♪

【スーツを綺麗に保つコツ②】~ボトムス専用ハンガーを使う~
スーツ専用ハンガーは、ボトム(スラックス)を半分に折って一緒にかけることができるようになっています。
ですが、そのようにボトム(スラックス)をかけてしまうと、折り返した部分に折りジワができてしまいます。
そのため、ジャケットとボトムは分けて保管したほうが良いです。
ボトムス専用ハンガーを使うメリット
ボトムス専用ハンガーは、全体をまっすぐ伸ばした状態で吊るすことができるため、シワになりません。
ハンガーに2つクリップがついていて、クリップがスライドできるタイプですと、裾の幅によってクリップを移動調整することができます。
ボトムスハンガーの種類
ハンガータイプ | 特 徴 | 向いている人 |
クリップ式 ウエストや裾を挟むタイプ | シワ防止・通気性◎ | やわらか素材が好きな人 |
バー式 二つ折りにしてバーにかけて吊るす | 型崩れ防止・収納効率◎ | 型崩れ防止・収納効率◎ |
クランプ式 ボトムの端を板状の構造で上下から挟む | 跡がつきにくい高級仕様 | 素材を大切にしたい人 |
多段式 複数本のボトムを縦に収納できるタイプ | スペース節約 | 収納が限られている人 |
正しいボトム(スラックス)の掛け方
ボトム(スラックス)の前側と後ろ側には「プリーツ」と呼ばれる脚の真ん中を真っすぐ走る縦の折り目があります。
折り目が縦方向に視線を誘導するため、脚が長くスラリと細く見えます。
視覚的な効果でスタイルアップが期待できます。
さらに、「清潔感」や「品格」を示す重要なディティールで、きちんと折り目がついたボトム(スラックス)は、ビジネスシーンやフォーマルな場で信頼感や礼儀正しさを印象づけます。
プリーツが消えてしまっているとだらしない印象になるので、プリーツが消えにくくするボトムの掛け方を紹介します。
- 両足の折り目(プリーツ)を揃えて重ねます。
- 裾を持って、ウエスト部分を下にします。
- ボトムスハンガーのクリップを移動させて、裾をクリップで挟みます。

ウエスト部分の重みを利用してシワを伸ばすことができます。
さらにプリーツを揃えると綺麗な折り目が持続します♪
ジャケットとボトムは分けて掛けるべき3つの理由
1.型崩れ防止
ジャケットとボトムでは、必要なハンガーの形状や機能がまったく異なります。
- ジャケットには肩の丸みに沿った厚みのあるハンガーが必要
- ボトムには折りジワを防ぐ滑り止め付きやクリップ式の専用ハンガーが最適
一体型ハンガー(上下を一緒に掛けるタイプ)では、どちらかに妥協が生まれ、型崩れやシワの原因になります。
2.通気性・湿気対策
一日着たスーツは、汗や湿気を含んでいます。
上下を重ねて掛けると、通気性が悪くなり、湿気がこもりやすくなります。
- ジャケットとボトムを別々に掛けることで空気が通りやすくなり、湿気をしっかり逃がせる
- カビや嫌な臭いの発生を防ぎ、清潔な状態をキープできる
特に、連日同じスーツを着用する方にとっては重要なポイントです。
3.長期保管にも最適
数日~シーズン単位でスーツを保管する場合、ジャケットとボトムを分けておくことで以下のようなメリットがあります。
- ジャケットの肩のラインが保たれる
- ボトムスに余計な折り目やクセがつかない
- クローゼット内で圧迫されにくく、見た目も整理される
たたんで重ねて保管するよりも、圧倒的に「きれいな状態を維持」できます。

【スーツを綺麗に保つコツ③】~スーツにあったサイズを選ぶ~
スーツは、肩のラインと襟元の構成が命。
この部分が型崩れすると、一気にだらしない印象になります。
サイズの合っていないハンガーを選ぶとどうなるの?
- ハンガーが大きすぎる
肩先が飛び出して不自然な膨らみができる - ハンガーが小さすぎる
肩が内側に落ちてしまいシワが寄る - 重みで襟元や肩にクセがつく
スーツを守る「最強の相棒」はハンガーです。
正しいサイズと形状のハンガーを使うだけで、スーツの寿命と見た目は格別に変わります。
スーツハンガーの最適なサイズは?
ハンガーのサイズは、自分の肩幅から2cm~4cm程度引いたものが最適です。
重要なのは肩幅と同じ大きさではなく、自分の肩幅より小さいハンガーを選ぶこと。
肩幅は一般的に、男性であれば42cm~44cm、女性であれば36cm~38cm程度なことが多いです。
肩幅の図り方は、肩の縫い目の部分からそのまま反対側の肩の縫い目まで真っすぐにメジャーを伸ばして図ります。
自分ひとりでは図るのが難しいので、お近くの紳士服店で肩幅を図ってもらいましょう。
自分の肩幅 | ハンガーサイズ(目安) |
42cm~44cm | 約41cm~42cm |
44cm~46cm | 約43cm~44cm |
46cm~48cm | 約45cm~46cm |

スーツを型崩れから守るためには、ジャストサイズのハンガーが必要不可欠なのです。
【まとめ】
スーツは、ただ着るだけでなく、「どう保管するか」で見た目の印象も寿命も大きく変わります。
大切なのは、日々のちょっとした気配りと、正しい知識を持つこと。
それは単に洋服を守るだけではなく、「清潔感」や「信頼感」といった、大人の男性に欠かせない第一印象にもつながるのです。
中でも、ハンガー選びはその第一歩。
今回ご紹介した3つのコツ――
- 厚みのあるジャケット専用ハンガーを使う
型崩れを防げる:肩のラインに合った形状で、美しいシルエットをキープ。
シワがつきにくい:厚みがあり、スーツ全体を自然な形で支える。
通気性が良く、蒸れにくい:湿気がこもらず、スーツの劣化を防げる。
長持ちする:スーツ本来の形を保つことで、寿命が延びる。
見た目もスマート:クローゼットの中が整い、管理しやすい。 - 型崩れを防ぐボトムス専用ハンガーを活用する
折りジワを防げる:たたまず吊るすことでシワが付きにくい。
プリーツをキープ:クリップ式なら折り目を美しく保てる。
スラックスが型崩れしにくい:腰回りや裾のヨレを防止。
省スペースで収納できる:すっきりと整理しやすく、見た目も整う。
毎日のコーデが選びやすい:一目で取り出せて時短にも◎。 - 肩幅に合った正しいサイズのハンガーを選ぶ
ジャケットの型崩れを防ぎ、肩のラインを美しく保つために重要。
大きすぎても小さすぎても、肩が出っ張ったり垂れ下がったりして、シルエットが崩れてしまう。
正しいサイズのハンガー選びはスーツを長くきれいに着るために大切なこと。
この3つを意識するだけで、スーツはグッと長持ちし、毎回の着用時もビシッと決まります。
ぜひ今日から実践して、クローゼットの中から”できる男”をつくっていきましょう。

【Q&A】
ジャケット編
Q1.スーツ用ハンガーと普通のハンガー、何が違うの?
A.スーツ用ハンガーは、肩幅に合った厚みとカーブで作られており、肩の形をきれいに保つ設計になっています。
一般的な針金やプラスチック製のハンガーはスーツの重みに耐えきれず、ハンガーがたわんで型崩れの原因になります。
特に針金ハンガーは細すぎて、肩がとがって変形しやすいので避けましょう。
Q2. スーツハンガーの素材は木製がいいの?
A. 木製ハンガーは吸湿性があり、形状も安定しているためおすすめです。
特に湿気が気になる日本の気候では、スーツの型崩れやカビ防止に効果的です。
見た目の高級感もポイント。
Q3. ハンガーの厚みはどれくらいがベスト?
A.肩幅やスーツの重さにもよりますが、4~5cm前後の厚みがあるハンガーが理想的です。
薄すぎるとスーツの重みでたるみが出ることがあります。
Q4.肩幅に合わないハンガーを使うとどうなるの?
A.肩先が浮いたり、逆にハンガーが突き出して不自然な”角”ができる原因になります。
自分の肩幅に合ったサイズ(おおよそ42~45cm程度)を選ぶことが大切です。
Q5.スーツを毎日ハンガーに掛けておけばいいの?
A.はい。着用後はすぐにハンガーにかけ、風通しのよい場所で一晩休ませるのがベストです。
ただし、連続して同じスーツを着ると型崩れしやすくなるので、2~3着をローテーションするのがおすすめです。
スラックス・パンツ編
Q1.スーツのパンツはどんなハンガーにかければいいの?
A.スラックス専用の「ボトムハンガー」がおすすめです。
主に、「クリップ式」と「バー式(挟み込み式/吊るし式)」の2タイプがあり、シワを防ぎながら型崩れしにくいものを選びましょう。
Q2.収納スペースが狭く、ボトムを伸ばした状態で保管できない場合どうしたらいい?
A.スラックスのプリーツ(折り目)を揃えて、縦半分に折り、ハンガーのバーに掛けて保管しましょう。
折りジワができてしまったら、履く前に軽くスチームアイロンで整えると◎。
他には、丸めて引き出しに保管する方法もあります。
プリーツ(折り目)を揃えて、ウエスト側から裾に向かってふんわりとロール状に丸めて収納しましょう。
Q3.ハンガーにかけたボトムが滑り落ちてしまう…対策は?
A.ゴムや滑り止め付きのハンガーを選ぶのがポイントです。
また、ボトムの折り目がきちんと揃っていないとバランスが崩れやすく、滑る原因になることもあるので、丁寧に二つ折りして掛けましょう。
Q4.毎回ハンガーにかけた方がいい?
A.はい。ボトムは特に膝・お尻・太もも部分にシワが出やすいため、着用後は必ずハンガーにかけて風通しのよい場所で休ませましょう。
クローゼットに戻す前に、ブラッシングでホコリを落とすとより効果的です。
Q5.折りジワが気になるときはどうする?
A.スチームアイロンで軽く整えるか、霧吹きで少し水分を含ませてあげるとシワが回復します。
シャワー後の浴室に一時的に吊るすと自然にシワが伸びることもあります。
ただし、水分のつけすぎや湿気の多い場所に長時間置くのはNG。
Q6.出張や旅行のときはどう収納すればいい?
A.スーツ用ガーメントケース(折りたたみ式バッグ)がおすすめです。
ボトムは内側に丸めて入れるか、ハンガー付きのガーメントバッグで吊るしたまま持ち運べば、到着後のシワも最小限に抑えられます。
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