既製スーツが合わないのはサイズのせい？体型別“スーツの悩み”あるある

「サイズは合ってるはずなのに、なぜかしっくりこない」

そんな違和感を、10年以上抱えながら既製スーツを着続けてきた方へ。

実はその原因、“サイズ”ではなく“体型の特徴”にあるかもしれません。

私は元スーツ販売員として、多くのお客様の「合わない理由」と向き合ってきました。

その中で気づいたのは、「誰でも体型にクセがある」という当たり前の事実。

けれど既製スーツは、万人に合わせた“平均値”の型で作られているため、なで肩・いかり肩・胸板の厚さなど、細かな体型の違いまではカバーしきれないのです。

この記事では、そんな「体型とスーツの相性」について詳しく解説。

あなたの違和感の正体を明らかにし、どんな対策があるのかまでわかる内容です。

「似合う一着」に出会うための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。

既製スーツが「合わない」と感じる理由とは？

理由①：体型にフィットしていない

既製スーツが「なんとなく似合わない」「かっこよく見えない」と感じる一番の理由は、自分の体型にぴったり合っていないからです。

既製スーツは、多くの人に当てはまる“平均的な体型”をもとにサイズ展開されています。

そのため、身長・肩幅・ウエスト・腕の長さなどがすべて標準的でない限り、どこかに“ズレ”が出てしまうのは当然のことです。

たとえばこんな違和感、ありませんか？

とくにスーツはシルエットが命。

たった数センチの違いでも印象は大きく変わります。

さらに、日本人男性の体型も人それぞれ。

筋肉質な体型や、肩幅が広いタイプ、ウエストが細いタイプなど、個性に合ったサイズ感は既製品ではカバーしきれないのが実情です。

既製スーツの「サイズが合っているはずなのに、しっくりこない」というモヤモヤは、多くの人が感じている共通の悩み。

これは、あなたの体型が特殊なのではなく、むしろ既製スーツのつくり方に原因があるのです。

理由②：補正や選択の自由が少ない

既製スーツは、すでに完成された状態で販売されているため、自分好みの細かい調整ができないという制約があります。

もちろん、購入後に「ウエストを少し絞りたい」「袖丈を短くしたい」「パンツの裾幅を細くしたい」といった補正は可能です。

しかし、あくまで“あとから直す”という形になるため、補正箇所が限定的だったり、シルエット全体のバランスが崩れてしまうこともあります。

たとえば以下のような調整は、既製スーツでもある程度対応可能です。

ただし、これらの補正には別途料金がかかるのが一般的です。

数千円で済むものもありますが、複数箇所にわたると1万円以上になることもあり、「せっかく安く買った既製スーツなのに、トータルで高くついた…」というケースも少なくありません。

さらに、あくまで“既製の型”がベースのため、体型や好みにぴったり合わせるには限界があります。

「こうしたい」が明確にある人ほど、補正では物足りなさを感じてしまうでしょう。

自分に合うサイズやデザインが最初から選べるわけではない、そして自由に選びにくい。

これが、既製スーツが「なんとなく合わない」と感じる大きな要因のひとつです。

理由③：シルエットにこだわれない

既製スーツには、「スタンダードタイプ」と「スタイリッシュタイプ」の2つの大きな傾向があります。

どちらも“ある程度の型”に沿って作られているため、「自分の好みや理想のシルエットを反映させる」のは難しいのが現実です。

見た目や着心地の方向性は異なるものの、「この部分だけもう少しこうしたい」といった微調整は難しく、「どちらを選んでも自分にぴったりとは言えない」ことが、既製スーツのもどかしさです。

結局、「なんとなく合ってるけど、あと一歩しっくりこない」というモヤモヤが残りやすく、それが“似合わない” “スタイルが悪く見える”といった印象に繋がってしまうのです。

理由④：着心地の違和感

一見、見た目は悪くない既製スーツ。

サイズも合っているように見える――
でも、実際に一日中着てみると、「なんだか動きにくい」「肩がつっぱる」「座ると窮屈」といった小さな違和感が積み重なっていませんか？

その原因は、スーツがあなたの体型に合わせて作られていないからです。

既製スーツはあくまで“平均的な体型”を基準に作られており、肩幅・胸まわり・腕の長さ・姿勢など、ひとりひとり異なる体の個性までは考慮されていません。

そのため、肩や背中が動かしにくかったり、腕を前に出したときにつっぱるなど、日常のちょっとした動作でストレスを感じてしまうのです。

スーツは毎日身につけるものだからこそ、「なんとなく着づらい」は大きなマイナスポイント。

快適さがないと、仕事中の集中力にも影響するかもしれません。

自分の体型や姿勢に合わせて一から仕立てることで、「着た瞬間から自然に馴染む」「肩も腕もラクに動かせる」そんな快適さを実感できます。

「なんとなく着づらい」と感じている方には “オーダースーツ” をおすすめします。

なぜなら、自分の体型や動きのクセに合わせて一から仕立てることで、肩や背中のつっぱり感がなくなり、驚くほど自然な着心地になるからです。

「着心地のよさ」を重視したい方は、

>>初めてのオーダースーツ おすすめブランド5選

からチェックしてみてください。

体型別・スーツの悩み“あるある”

なで肩さんの悩み

なで肩の方は、一見するとスーツの肩周りが優しくフィットしそうに思えますが、実際には逆の悩みを抱えていることが多いです。

肩の傾斜が平均よりも緩やかなため、既製スーツの「水平気味に作られた肩ライン」とズレが生じます。その結果――

私も販売員として接客していた際、なで肩のお客様は試着の段階で「なんか肩が落ちるな…」と首をかしげる姿をよく目にしました。

サイズを小さくしても肩幅が合わず、全体のバランスが崩れてしまうケースが多いのです。

原因は、既製スーツの肩の設計が“平均的な肩の傾斜”を基準にしていること。

なで肩さんの場合、その平均値よりも肩の角度が低いため、ジャケットが自然に外側へ落ちてしまうのです。

なで肩は、柔らかく優しい印象を与える魅力的な体型です。

「肩が落ちてしまう」という欠点を補正してあげれば、スーツ姿がぐっと引き締まり、洗練された印象になります。

いかり肩さんの悩み

いかり肩の方は、スーツを着ると「威厳がある」「堂々として見える」と言われることも多いですが、既製スーツでは意外な悩みがつきまといます。

肩の傾斜が平均よりも急で、肩先が高く張っているため、既製スーツの肩ラインと噛み合わないのです。その結果――

販売員時代、いかり肩のお客様は試着の際に「なんか肩だけ強調されるな…」とおっしゃることがよくありました。

サイズを下げると胸回りが窮屈になり、サイズを上げると肩がさらに強調される――そんな“サイズのジレンマ”に陥りやすいのです。

原因は、既製スーツの型の設計が“肩の傾斜を緩やかな平均値”で設計していること。

いかり肩さんの場合、その角度よりも急なため、肩パッドが本来の位置より上がり、全体が外側に張り出してしまいます。

いかり肩は、堂々とした頼もしさを演出できる魅力的な特徴です。

肩周りのバランスを整えれば、スーツ姿が一気に“洗練された迫力”に変わります。

胸板が厚い人の悩み

胸板が厚い人は、ジャケットを着たときの存在感や男らしさが魅力ですが、既製スーツではその体型が裏目に出ることがあります。

平均的な胸囲を基準に作られた型紙では、胸回りだけが極端にタイトになり、こんな悩みが起こりやすいのです。

接客していたときも、胸板が厚いお客様は試着の段階で「肩は余裕あるのに胸だけ苦しい」とおっしゃることが本当に多かったです。

サイズを上げれば胸は楽になりますが、そのぶん肩”や袖丈が余り、だらしなく見えてしまう――これが胸板が厚い人の“スーツ選びあるある”です。

原因は、既製スーツの型の設計が“胸囲と肩幅・胴回りのバランスを「標準体型」基準”で連動させているからです。

胸囲だけが大きい体型では、この連動設計が合わず、部分的に窮屈・余りが生じます。

胸板の厚さは、スーツ姿に力強さと男らしさを与える大きな武器です。

自分の体型に沿ったフィット感を手に入れれば、その魅力は一層引き立ちます。

お腹が出ている人の悩み

お腹まわりが気になると、スーツ姿に自信を持ちにくくなるものです。

既製スーツはウエスト部分が標準的な寸法でくびれているため、お腹が出ている人が着ると、こんな悩みが出やすくなります。

販売員時代、お腹が出ているお客様は「前ボタンを閉めると苦しいから開けたまま着る」という方が多く、その結果、シルエットが崩れてしまっていました。

お腹をカバーするためにサイズを上げると、肩や袖が余って“着られている感”が出てしまうのも典型的なパターンです。

原因は、既製スーツの多くが「胸囲＞ウエスト＞ヒップ」という逆三角形型のサイズバランスを前提に設計されているからです。

お腹まわりが基準より大きい場合、このバランスが崩れ、前裾の浮きや生地の引きつりが発生します。

お腹が出ていても、正しいサイズ調整をすればスーツは美しく着こなせます。

むしろ、ふくよかな体型は“包容力”や“安心感”を与える大きな魅力。

シルエットを整えて、その魅力をしっかり引き出しましょう。

細身体型の悩み

細身の人は「スーツが似合いそう」と言われることが多いですが、既製スーツでは思わぬ悩みが生まれます。

標準体型をベースにした型紙では、胸囲・肩幅・ウエストがすべて余り気味になり、こんな症状が出やすいのです。

販売員時代も、細身のお客様は「どのサイズを着ても体にフィットしない」とおっしゃる方が多く、特にジャケットの肩まわりやウエストの余りが気になる傾向がありました。

原因は、既製スーツの型が、肩幅や胸囲に一定のゆとりをもたせた“平均値設計”で作られているからです。

細身体型の場合、そのゆとりが過剰になり、体型に沿ったラインが出にくくなります。

細身の体型は、シャープでスタイリッシュな着こなしが映える大きな魅力です。

余り布をうまくそぎ落とせば、そのスマートさを最大限に引き出せます。

体型に合ったスーツを着るためには？

既製スーツの“着心地の違和感”は、必ずしも自分の着方や姿勢のせいではありません。

多くの場合、それは「平均値で作られた型」と「自分の体型とのギャップ」が原因です。

このギャップを埋めるには、次の3つのアプローチが効果的です。

1. パターンオーダーを検討する

オーダースーツ初心者さんにまずおすすめしたいのが、パターンオーダーです。

パターンオーダーは、用意された基本パターン（型紙）をベースに、袖丈や着丈、ウエストやパンツの丈などを体型に合わせて微調整していく仕立て方。

既製スーツの「ちょっと合わない…」という悩みを解消しやすく、手頃な価格帯でフィット感のある一着を手に入れられます。

さらに、パターンオーダーはフルオーダーに比べて納期が早く、デザインや生地の選択肢も豊富。

仕事用としても、結婚式などのフォーマルな場面でも対応できるので、「初めてのオーダースーツ」にぴったりの入口です。

「スーツをもっと自分らしく着こなしたい」「サイズ感に妥協したくない」という方は、まずパターンオーダーから始めるのがおすすめです。

＞＞パターンオーダーを扱うおすすめブランドはこちら

2. リフォームでフィット感を高める

「新しいスーツを作るほどじゃないけど、今のスーツがなんとなくしっくりこない…」という場合には“リフォーム（お直し）”を検討するのも一つの方法です。

スーツは、袖丈やパンツ丈を数センチ直すだけでも印象が大きく変わります。

特に、パンツの丈が長すぎるとだらしなく見えてしまいますが、適切な長さに整えるだけでグッとスマートな雰囲気に。

さらに、ウエストや身幅を少し詰めたり出したりすることで、体に合ったシルエットに近づけることができます。

リフォームは既製スーツでも対応可能なので、「今あるスーツをできるだけ活かしたい」という方におすすめ。

コストを抑えつつフィット感を高められるため、オーダースーツへのステップアップ前の選択肢としても有効です。

洋服の青山で購入したスーツは比較的リーズナブルに補正を受けられますが、持ち込み品の場合は割高になるため注意が必要です。

購入後に袖丈や裾丈を少し直す程度であれば、補正で十分きれいに仕上がります。

ただし、直す箇所が多くなるとその分補正代金もかさみ、思ったより費用がかかってしまうことも。

「あれも直したい、ここも気になる…」と感じている方はちょっと注意が必要です。

補正が増えるほど費用が高くなるうえに、全体のバランスまで完璧に整えるのは難しい場合もあります。

「より理想に近い仕上がり」を求めるなら、最初から体型や好みに合わせて作れるパターンオーダーの方がおすすめです。

全体のバランスを考えて仕立てられるので、着心地も見た目も自分に合った一着が手に入ります。

＞＞洋服の青山 ｜ 洋服のお直しはこちら

3. 生地やデザイン選びで体型を補正する

実は、柄や仕立てを工夫するだけで、体型をすっきり見せることができるんです。

そのポイントをいくつかご紹介します。

スーツは「視覚効果」で印象が変わる

このように、柄やデザインにはそれぞれの視覚効果があり、体型の悩みをカバーしたり印象を変えたりできます。

おすすめの組み合わせ例

• チャコールグレーの無地 × ゆとりラペル → 落ち着いた雰囲気で体型を自然にカバーしたい方に
• 濃紺のストライプ × 細めラペル → スマートで誠実な印象を与えたい方に
• 紺のナチュラルショルダー × ストライプ → 肩幅を自然に見せつつシャープにしたい方に

ちょっとした工夫で、体型の気になる部分をカバーしながら、よりスタイルアップした着こなしができます。

迷ったときは、自分の体型に合わせた生地・デザインを意識して選ぶと安心です。

自分の体型を知り、それに合った調整やデザインを選ぶことが、スーツを美しく着こなす近道です。

「なんとなく合わない」を解消できれば、スーツ姿に自然と自信が生まれます。

今日から少しずつ、自分だけのフィットを探してみましょう。

「また失敗したくない…」スーツ選びに疲れたあなたへ

毎日のスーツ選びで、「サイズが合わない」「着てみたらイメージと違った」と感じることはありませんか？

そんな違和感が積み重なると、着るのが面倒になったり、自分に自信が持てなくなったりする原因にもなります。

これを「似合わないストレス」と呼びます。

スーツをかっこよく着こなすには、サイズ感が何より大事です。

肩幅や胸囲、ウエストのフィット感が整うと、姿勢やシルエットも美しく見え、自然に自信が出ます。

さらに、試着の際には店員さんに体型の悩みや気になる部分を正直に伝えることもポイント。

小さな調整やアドバイスで、驚くほど印象が変わります。

そんな悩みを持つ方には、体型や好みに合わせて作れるパターンオーダーがおすすめです。

「また失敗したくない…」「スーツを着るのが面倒」という気持ちを持つ方こそ、パターンオーダーで自分に合う一着を手に入れてみましょう。

まずは、初めてでも安心のパターンオーダーの選び方をチェックしてみてください。

まとめ

既製スーツが合わない原因は、サイズだけでなく「体型に合ったデザインや仕立て」が十分に考えられていないことにもあります。

なで肩やいかり肩、胸板が厚い、細身体型など、人それぞれの体型によってスーツの悩みも異なります。

しかし、工夫次第で体型をカバーし、見た目も着心地も満足できるスーツを選ぶことが可能です。ポイントは次の3つです。

柄や肩の形、ラペル幅など、ちょっとしたデザインの違いでも、見た目の印象は大きく変わります。

自分の体型に合ったスーツを選ぶことで、着心地だけでなく自信や印象もアップします。

「また失敗したくない…」と思う方は、まず自分の体型に合った選び方やオーダー方法を検討してみてください。

次に着るスーツが、あなたにとって快適でかっこいい1着になるはずです。